性器ヘルペスの治療薬、バルトレックスについて

バルトレックスは、多くの医療機関で性器ヘルペス感染症の第一選択薬として処方されている治療薬であり、抗生物質バラシクロビルを主成分とするDNAポリメラーゼ阻害薬です。
バルトレックスの主成分バラシクロビルは、アシクロビルに必須アミノ酸のバリンを付加したプロドラッグであり、神経節の神経細胞に潜伏感染しているヘルペスウイルスに対しても有効とされ、再発抑制治療にも用いられています。
バルトレックスは、バラシクロビルが肝臓でバリンとアシクロビルに分解され、アシクロビルがヘルペスウイルスのリン酸酵素と人間の細胞性キナーゼによって核酸類似体のアシクロビル3リン酸にリン酸化される事で活性化し、ウイルスの核酸基質の1つであるデオキシグアノシン3リン酸と競合的に拮抗してDNA鎖と結合する事でDNAポリメラーゼの働きを阻害します。
核酸類似体のアシクロビル3リン酸は、ウイルスのDNA鎖にデオキシグアノシン3リン酸と置換結合する事により、ウイルスの正常な塩基配列を乱し正常なウイルスのDNA鎖の伸長を抑制すると共にウイルスの増殖も抑制する医薬効果を発揮します。

バルトレックスの服用方法は、バラシクロビル換算で500mgを1日5回服用し症状に合わせて5日間~10日間程度、継続して服用します。
再発抑制治療の服用方法は、バラシクロビル換算で500mgを1日1回の服用を8週間~最長1年間継続する必要があり、1年間に6回以上の再発を繰り返す患者に対しては保険適用で治療が行われています。
副作用は、眠気による意識レベルの低下や頭痛、腹部の不快感などの比較的軽度な症状の発症が稀にあり、皮膚の過敏な患者や長期服用している患者は日光を浴びる事により発赤や水疱などが発症する光線過敏症を発症する事もあります。
バルトレックスは、医薬効果の高い抗生物質なので体質や体調などによってアナフィラキシーショックや急性腎不全、血液障害などの重篤な副作用を発症する事がごく稀にあります。
バルトレックス服用中に脱水症状に陥ると腎臓の細尿管でアシクロビルの再結晶化が引き起こされ、急性腎尿細管間質障害を発症するリスクがあるので充分な水分の摂取を心がける必要がある治療薬です。

ヘルペスの症状、感染原因とは?

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス2型の感染が原因で発症する性病です。
近年のオーラルセックスの普及によって口唇周囲や口腔内及び咽頭部に水疱や潰瘍を発症させる口唇ヘルペスの発症原因とされる単純ヘルペスウイルス1型による性器ヘルペスの発症が増加傾向にあります。
性器ヘルペスは、ヘルペスウイルスが感染患者の粘膜から離散すると数時間で感染能力を消失してしまう事から器物などを介した間接的な接触による感染リスクは極めて低くなっています。
無数のヘルペスウイルスを含む精液や膣分泌物などに粘膜や性器が直接接触するあらゆる性行為が最も感染リスクの高い感染原因です。

性器ヘルペスは、感染から2日間~10日間程度の潜伏期間を経て発症します。
初感染時には単一もしくは複数の水疱や性器潰瘍を発症すると共に急な38度以上の発熱やリンパ節の腫脹、全身の倦怠感など重い自覚症状を発症する感染患者もいます。
しかし、無症状であったり、気付かないほど軽度な自覚症状を発症する感染患者がほとんどであり、再発を繰り返すほど再発時の症状が軽くなる特徴がある性病です。

男性は、陰茎に痛みを伴う発赤や水疱が発症すると共に尿道で病原ウイルスが繁殖し尿道炎を発症します。
自覚症状が少ない事が多く感染に気付かず前立腺炎や精巣上体炎などを発症する事もあります。
女性は、外部性器を中心にヒリヒリ感やムズムズを伴う発疹や水疱を発症すると共に膣炎や子宮頸管炎を発症します。
おりもの異常や不正出血など生理不順様相の自覚症状の為に発症に気付かず、重症化し卵管炎や骨盤内腹膜炎、肝周囲炎などの重篤な疾患を発症する事が多くあります。
女性の性器ヘルペス感染患者は、卵管の癒着や閉塞を引き起こす卵管炎を発症する事で不妊症を発症するリスクを高めてしまうだけでなく、ヘルペスウイルスの子宮感染期間が長くなるほど子宮ガンの発症リスクまで高めてしまいます。
自覚症状の有無にかかわらず定期的な検査が必要です。